2014/11/8(土)連続講座第2回「”難民高校生”への支援~若者が夢や希望を持てる社会をめざして」のご報告

2014年11月8日(土)の連続講座
「地域でゆるやかに支えあう場をつくろうPart3」第2回の報告です。

(参加者35人、講師1人+colaboスタッフ3人、ナナスタッフ7人)

今回のタイトルは
「”難民高校生”への支援~若者が夢や希望を持てる社会をめざして」。

連続講座第2回目は、10代の困っている少女たちを支援をする「女子高校生サポートセンターColabo」の仁藤夢乃さんに、「JK(女子高生)ビジネス」という言葉が生まれるなど少女を食い物にする大人たちが後を絶たない現状と、少女たちの支援活動への思いをお聞きした。

仁藤夢乃さん

仁藤さんは1989年生まれの24歳。「平成元年」生まれも、今どきの女子高生からしたら「え〜イチ?!」と驚かれるほど年上だと笑う。

自身も高校生の頃、家庭にも学校にも居場所をなくして絶望し、渋谷を彷徨していたという仁藤さん。メイドカフェで働いたこともある。
そのしんどさや危険を知っているからこそ、今、渋谷や秋葉原など夜の街を歩いて、帰れない、いろんな事情がある女の子たちに「何かあったら連絡して」と
声をかけている。

ブログやツイッターから、「援助交際がやめられない」「リストカットがやめられない」「食べていない」「寂しい」「死にたい」「誰か助けてほしい」という相談がよく届く。そこからつながって、相談にのったり、一緒に食事をしたり、支援機関につないだりしている。

「渋谷をさまよう女子高生に声をかけてくる大人は、援交おじさんとスカウトの男性のどちらかだけ。だから女の子たちは自分にはそういう価値や選択肢しかないと思ったり、性の対象としてでも”必要としてくれる”のをうれしいと思ってしまい、危険なところに足を踏み入れていくんです」と仁藤さん。

今、街で女の子に声をかけると、「声をかけてくれてありがとう」「気づいてくれてありがとう」と言って泣かれたり、「女の人と話したの3週間ぶり」と言われたりする。

おじさんたちは困ってる女の子たちをみつけるのがすごく上手で、「おなかすいてない?」「帰るところある?」なんて誘う。だから、子どもたちを守りたい側の大人が、「おなかすいてない?」なんて言って手作りのおにぎりなんか配って回るような社会にしたい。今、町で子どもに声をかけるのが、「子どもを利用する」大人しかいないという現状を何とかしたくて活動しているんです、と仁藤さんは言う。

両親が離婚し、通っていた私立高校は、教師との折り合いが悪く、2年の夏で中退した。
その後、高卒認定試験のために通った予備校のプログラムのひとつ「農園ゼミ」を主宰する阿蘇敏文さんとの出会いが仁藤氏さんの転機となった。

NHK「ハートネットTV」の中で、俳優の風間俊介さんが言ってくれた「健やかすぎては救えない」という名言のように、毎週土曜日の「農園ゼミ」はちょっとタバコが吸えたり、麻雀台があったりして”健やか”だけではなかった。
「阿蘇さんは私をありのまま、いびつなまま受け止めてくれた。一緒に行動し、一緒に怒り、笑い、喜んでくれた。農園にいるといろんな人と出会え、それまではひとくくりに冷たい視線を向けられていると思っていたおばちゃんたちと顔の見える関係になって、”あなたは大丈夫よ”と言ってもらえるとすごく自信になった。今関わっている女の子たちも、自分のことをあきらめている子がすごく多い。それは、その前に、”自分は大人にあきらめられている”と思っているから。だからまず大人たちから、彼らの可能性を信じ直して、言葉でも態度でもいっぱい伝え続けることが必要」と。

やりたいことや夢がなくて、勉強にも身が入らない時に、阿蘇さんに相談して訪れたフィリピン。そこで日本人男性相手の風俗店の女の子たちと出会い、「え、なんで、渋谷と同じことがここでも起きているの?」とショックを受け、それがきっかけで、勉強しなければと思い大学に進学したという。

今、女子高生をウリにする「JKビバネス」で働く女の子たちは、3つの層に分けられるという。
1つ目は、
家族に渡すお金や学費を必要とする「貧困層」。

2つ目は、
経済的には困窮していないけれど、家族や学校での関係に不安や特別な事情を抱えている「不安定層」。たとえば、いじめがきっかけで不安障害と診断をされていて、シフト性のバイトをやろうとしてもお腹が痛くなったりして行けない。JKビジネスだと自由出勤で好きな時に来て帰っていいよと書いてあるから、私にもできる仕事だと思って、社会に出るためのリハビリみたいなつもりで入っていく女の子もいる。

3つ目が、
学校での成績もよくて、家庭環境もOKで周りから見ても問題が無さそうな「生活安定層」。

「貧困層」と「不安定層」の子は、街でスカウトされることが多いが、3番目の何の問題もないように見える子は自分で求人情報を見つけて入ってくる子が多い。今は3分の1くらいいるという。

JKビジネスがこうした問題がなさそうな子たちにまで浸透していることに衝撃を覚えたという仁藤さん。自身も10代の頃にメイドカフェで働いたことがあるが、

当時はあくまで「訳あり」の子が働いていた場所だった。

広がりの背景にはスマホの普及、子どもたちが使うSNSとかツイッターとかLINE(ライン)の影響がある。そこには広告がいっぱい出ていて、「タレントデビューのチャンス!」「読者モデルも在籍」という誘い文句まで。全国のJKビジネスの求人情報が掲載されたホームページを見て、何をする「バイト」なのか知らないまま入る子が多くいる、という。

秋葉原

秋葉原(スライド)

「裏社会のやりかたはうまい。ハッピーでウェルカムな感じを醸し出し、スカウトには若い人を使う。優しく声をかけ、店に入った後も、少女たちの話を聞き、褒めたり、しかったり、励ましたり、時には勉強をみたり、家出した少女に部屋を提供する店もある。時々現れるオーナーは、がんばっているね、と少女たちの自尊心をくすぐるような声かけをする。彼らは『衣食住』と『関係性』を提供して巧みに少女たちを裏社会に引き入れている」と仁藤さん。

 

人と人とが生身でかかわる機会が減ってきていて、大人たちも含め<関係の貧困>が連鎖している今、だからこそ「顔の見える関係」が大事、あきらめずに声をかけ続けてくれる大人が必要とされている。

「援交おじさんたちは、うざい、キモい、臭い、と女の子たちから言われてもめげません! 私たちもそれくらい本気で彼女たちにかかわっていかないといけない」という仁藤さんの言葉に、うーん確かにと思ったり、支援する側の課題、若い人への関わり方のヒントをもらった2時間でした。

 

 

 

 

【参加者のアンケートからコメントを一部紹介】

  • 友だちが援交していて、何ができるのかわからず、夢乃さんの話を聞きに来ました(10代)
  • 友人が夜のバイトをしていて、私自身、誘われた経験があります。日本というか、社会って怖い、受け入れたくない現実でしたが、とても心に響きました(20代)。
  • 自分の経験をオープンに話すことはとても力を使うと思いますが、非常にインパクトがあり、少女たちの力になりたいという想いが伝わってきました(20代)。
  • 街で公然と買春が行われていることを知り、「意識」して見ないと見えない、見えてこないのだなと痛感した。お話を聞いて、これから見える風景が変わるように思う(30代)。
  • 印象的な言葉。信じられる大人、可能性を信じる大人、顔の見える関係、当たり前の日常の支援、めげない(30代)。

地域でゆるやかに支えあう場をつくろう
~コミュニティカフェ「スペースナナ」の連続講座Part3~(10/11~4/11)
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